痔瘻は「クローン病」という腸の病気が原因となっていることがある。
クローン病に気づかずに痔瘻の手術をすると、傷が治らず悪化することがある。
■通常の痔瘻
通常の痔瘻は、肛門陰窩(こうもんいんか)というポケットから細菌が入って起こる。
通常の痔瘻の手術で治すことができる。
■クローン病の痔瘻
クローン病の痔瘻は、直腸の潰瘍(かいよう)からトンネルができて起こることが多い。
このタイプの痔瘻に通常の痔瘻と同じ手術を行うと、傷が治らず悪化する場合がある。
この場合、通常の痔瘻とは異なった治療が必要となる。
解説
痔瘻の手術の前に、大腸内視鏡検査を受けておく必要があります。
痔瘻の原因の大半は、肛門陰窩(こうもんいんか)というポケットから細菌が入って起こるタイプの痔瘻です。
このタイプの痔瘻は、通常の痔瘻の手術で治すことができるので問題はありません。
問題は、クローン病が原因となって起こった痔瘻です。
クローン病を見落として痔の手術をしてしまうと、傷が治らずに余計に悪化してしまうことがあります。
クローン病がある人の場合、痔瘻の治療法を変更する必要があるのです。
また、潰瘍性大腸炎という腸の病気がある場合には、気づかずに手術をしてしまうと傷が治らなくなります。
潰瘍性大腸炎がある場合には、炎症がおさまっている時期を狙って手術する必要があるのです。
以上の理由から、大腸肛門科を専門としている病院では、痔瘻の手術の前に大腸内視鏡検査をおすすめするのが普通です。