痔瘻の術式には、切開開放術、括約筋温存術、シートン法の3種類がある。

それぞれの術式に長所と短所がある。

痔瘻の状態に応じて、適切な術式を選択する必要がある。

正しい術式を選択しないと、再発を繰り返したり便漏れを起こすリスクが生じる。

 

■切開開放術

もっとも再発率が低い(2%くらい)

浅い単純痔瘻によく用いられる。

短期入院手術にも対応できる。

複雑痔瘻にこの方法を行うと、変形が起こる恐れがある。

 

■括約筋温存術

複雑痔瘻に用いられることが多い。

うまく決まれば、もっとも変形の起こる可能性が低い。

再発率が高い(10~20%という報告が多い)

術後の排便コントロールを慎重に行う必要があるので、通常一週間程度の入院が必要となる。

 

■シートン法

複雑痔瘻に用いられることが多い。

再発率が低く(3%くらい)、うまくやれば変形を起こすリスクも低い。

短期入院手術にも対応できる。

ゴム輪が外れて治るまでに時間がかかることがある。

しばらくゴム輪をつけておくので、気にする人もいる。

 

解説

痔瘻の術式は、大きく分けて3つあります。

切開開放術、括約筋温存術(くりぬき法)、およびシートン法(ゴム輪法)がそれです。

それぞれの術式には長所と短所があるので、すべての痔瘻を一つの術式で治そうとするのではなく、痔瘻のタイプに応じて最適な術式を使い分ける必要があります。

大雑把に言えば、単純で浅い痔瘻(I型痔瘻・浅いII型痔瘻)では切開開放術、複雑な痔瘻や深い痔瘻(深いII型痔瘻・III型痔瘻・IV型痔瘻)ではシートン法や括約筋温存術が用いられることが多いです。

我々の治療方針は、全国の大腸肛門科専門病院の中でも標準的なやりかただと思われますが、医師の考え方によって治療方針が異なる場合も多いので、主治医と相談して納得した上で治療を受けるのが大事です。