単純な痔瘻は再発しにくく、複雑な痔瘻は再発しやすい。
切開開放術とシートン法は再発しにくく、括約筋温存術は再発しやすい。
痔瘻のタイプに応じて、適切な術式を使い分けている。
■皮下痔瘻(I型)
切開開放術が行われる。
ほぼ100%治る。
■低位筋間痔瘻(IIL型)
痔瘻の深さによって術式を使い分ける。
浅いもの(背中側のIIL型は浅いことが多い)には切開開放術が行われる。再発率1~2%程度。
深いもの(前方や側方のIIL型は深いことが多い)にはシートン法や括約筋温存術が行われる。
シートン法の再発率は2~3%程度。
括約筋温存術の再発率10~15%。
■高位筋間痔瘻(IIH型)
通常切開開放術が行われる。再発率2~3%程度
■坐骨直腸窩痔瘻(III型)および骨盤直腸窩痔瘻(IV型)
III型痔瘻とIV型痔瘻は合併していることが多いので、同じ項目で記す。
切開開放術およびシートン法では、再発率4~5%程度。
括約筋温存術では再発率15%程度。
III型痔瘻単独では再発率はそれほど高くない。
IV型を合併していると再発率が高くなる。
解説
痔瘻の再発率は、痔瘻の複雑度と術式の二つで決まります。
再発に影響する因子のひとつは、「痔瘻の複雑度」です。
ごく浅い単純痔瘻はほぼ一発で治るし、深くて複雑なIV型痔瘻では再発を繰り返すこともしばしばあります。
再発に影響するもうひとつの因子は、「術式」です。
もっとも再発率が低い術式は切開開放術で、次に再発率が低いのがシートン法(ゴム輪法)です。
いっぽう括約筋温存術(くりぬき法)の再発率は、ほかの術式と比べるとかなり高くなります。