大腸肛門科を受診しようと考えている方は、いろいろな不安を抱えています。
「どんなことをされるんだろう・・・」
「恥ずかしくないのかな・・・」
「痛くないのかな、いきなり切られたりしないのかな・・・」
「どれくらい費用がかかるんだろう・・・」
ここでは受診を考えている方のために、具体的に診療でどんなことを行うのかを説明いたします。
肛門科(大腸肛門科)とは?
肛門科(大腸肛門科)とは、肛門を専門に診察する診療科のことです。
肛門科を受診する方には大腸の病気が見つかることもよくあるので、肛門をあつかう医師は肛門と大腸をトータルで診療できる必要があります。
そのため最近では「大腸肛門科」という診療科が増えてきています。
受診の流れ
(1)大腸肛門科の病院・クリニックに行く
受診する日には、軟膏や座薬の使用をひかえる必要があります。
これは軟膏や座薬の色で、正常な肛門や直腸の状態がわからなくなることがあるためです。
(2)受付・問診表の記入
受付を済ませたら、問診表に記入していただきます。
問診表には、治療中の病気・服用中の薬・妊娠の有無・アレルギーの有無なども記載していただきます。
(3)待合室で呼ばれるのを待つ
診察に呼ばれる前に、できるだけ排便をすませておくことが大事です。
直腸に便が残っていると、診察の妨げになることがあります。
待合室でも恥ずかしがる必要はありません。
われわれの病院では、肛門科と胃腸科の診療を行っています。
肛門科と胃腸科の待合室および診察室は同じであるため、あなたが肛門科を受診しに来たということはスタッフ以外にはだれにもわかりません。
肛門科受診に抵抗ある人は、「胃腸科の受診に来た」つもりで待っていればよろしいかと思います。
(4)診察室に入る
診察は独立した小さい個室で行われます。
診察室には、通常医師と女性看護師の二人しかいません。
緊急の処置を行う場合を除き、他の人が入ってくることはありません。
(5)問診
診察室に入ったら、医師の問診を受けます。
医師が知りたいと思っているのは、まずは以下の三つです。
どんな症状があるのか(痛み、出血、腫れ・・・)
いつからその症状はあるのか(以前から、数日前から急に起こった・・・)
他の病院で治療や検査を受けたことがあるのか(手術した、薬をもらった・・・)
(6)ベッドに横になる
ズボンや下着をすべて脱ぐ必要はありません。少し下にずらして、お尻を出すだけで十分です。
診察は羞恥心に配慮した体位でおこないます。体の左側を下にして、ひざを抱え込むような体勢(シムス体位といいます)になってもらい、下半身にはタオルをかけて診察をします。
(7)診察
ベッドに横になったら、肛門の診察を行います。
緊張するとやりづらいので、なるべくリラックスしたほうが良い結果が得られます。
まずは「指診」といって、医師が指で肛門を触って病気の有無を診察します。
続いて肛門鏡という筒型の器具を肛門に挿入して、中の方を診察します。
肛門鏡は細い筒状の器具なので、痛みはまず起こりません(痛みが強い方の場合には、使用しないこともあります)
ほとんどの場合、これだけで診察は終了です。
ごく一部のケースを除けば、いきなり切られたりすることはありません。
ただしごく一部のケースでは(肛門周囲膿瘍および痛みの強い血栓性外痔核)、その場で処置を行った方がすぐ楽になるので、数分で終わる簡単な処置が必要となります。
(8)説明
診察が終わったら服を着て、椅子に座って医師の説明を聞きます。
病気の状態や、今後の治療方針について説明があります。
(9)検査
診察を行ったあとに、さらに正確な診断を下すために検査を行うことがあります。
検査が必要な場合には、その必要性を説明してから受けるかどうかを本人に決めてもらいます。
・大腸内視鏡検査
大腸がんや大腸ポリープ、および潰瘍性大腸炎といった大腸の病気を調べる方法です。
・肛門内圧検査
肛門括約筋のしまりを測る検査です。
肛門がゆるい、便が漏れるといった訴えがある方や、痔ろうの手術を予定している方に行います。
・肛門エコー
超音波という手段を用いて、病気をくわしく見る方法です。
痔ろう、肛門周囲膿瘍、腫瘍などの診断に用いられます。
・CT、MRI
肛門エコーと同じく、痔ろう、肛門周囲膿瘍、腫瘍などの診断に用いられます。
・排便造影検査
排便障害・排便異常を訴える場合に行います。
(10)診察が終わったら
診察が終わったら、受付で会計を行います。
大腸肛門科の診療を行っている病院・クリニックの大半は、保険診療を行っています。
保険診療であれば、同じ医療行為にかかる費用は全国どこでも同じです。