血栓(血豆)がたまって腫れてくる病気。

急に腫れて痛くなる。

肛門科領域では頻度が高い疾患。

 

血栓(血豆)が肛門周囲にたまって腫れてくる。

パチンコ玉のような、コリコリした「しこり」を触れる。

一見白っぽいが、よく見ると血栓が透けて青黒く見える。

 

■原因

強くいきんで肛門に負担がかかって発症することが多い。

他にアルコール、運動なども原因となる。

無理しがちな若い人にできやすい。

 

■症状

痛み・腫れが起こる。

「急に腫れて痛くなった」というような訴えが多い。

表面が破れて血栓の中身が出てきた場合には、出血が起こることもある。

 

■治療

血栓性外痔核の治療は、「保存的治療」と「血栓切除」に分けられる。

 

①保存的治療:薬による治療

小さくて痛みが強くない場合には、ほとんど薬(軟膏)で改善してくる。

大半の人は薬で治せる。

 

②血栓切除:血栓を取りのぞく処置

以下のような場合には、血栓切除を考慮したほうがよい。

・痛みが強くて耐えられない場合。
・薬をしばらく(3~4週間が目安)つかっても治らない場合。
・何回も同じところが腫れる場合。
・表面がやぶれて出血が起こっている場合。

血栓切除は、外来診察室で数分でできる。

 

解説

血栓性外痔核は、若くて働き盛りの人によくみられる病気です。

強くいきんだり、アルコールや運動などによって、肛門の血液循環に異常をきたすことが原因と考えられています。

 

血栓性外痔核がそれほど大きくなくて、痛みも強くない場合には、通常軟膏だけで経過を見ていきます。

ほとんどの人はこれで治ってきます。

 

血栓性外痔核が大きくて痛みが強い場合には、切除をお勧めしています。

血栓の切除は、外来で3分くらいでできます。

切除後一週間くらいは無理せず、運動や海外旅行などをひかえる必要があります。

また、血栓を切除した後は、1~2週間ほど傷口からすこしずつ出血が続くことがありますが心配ありません。

血栓の切除は一見かんたんにできそうに思えますが、慣れないうちはけっこう難しかったりします。

ポイントを押さえた方法で上手にやらないと、切除の時に強い痛みが起こったり、傷がなかなか治らなかったりして困ることがあるのです。

 

余談ですが、この病気は忘年会シーズンにやたら多く発生します。

年末に若い男性が「肛門が急に腫れて痛くなった」といって来院したら、ほとんどの場合この血栓性外痔核が原因だったりします。

一日に二人同じ会社の人が血栓性外痔核で来院したこともあるので、「忘年会でもあったのかな・・・」と思って聞いてみたらそのとおりだったこともあります。

さすがに肛門科なので連れ立って一緒に来院する人はいませんが・・・