ホワイトヘッド肛門とは、昔の痔核手術(ホワイトヘッド手術)の後遺症。

粘膜の脱出、出血、下着の汚れなどが起こる。

薬では治らないので、治すには手術が必要。

 

■ホワイトヘッド手術とは・・・

ホワイトヘッド手術とは、「痔は徹底的に取り除いて治す」という考え方の手術(現在は肛門機能を損ねないように、「脱出する痔核だけ最小限に取り除く」という考えが主流)

痔核のみならず、周囲の肛門上皮のところをすべてリング状に切り取ってしまう。

 

取り除いた部位の奥(直腸の粘膜)と手前(肛門周囲の皮膚)を縫い合わせる。

 

直腸の粘膜が年とともに徐々に下がってくる。

術後何十年もたつと、直腸の粘膜がさらに下がってきて肛門から脱出してくることがある。

そのため粘液で下着が汚れたり、出血を繰り返すようになる。

これをホワイトヘッド肛門という。

 

■ホワイトヘッド肛門の治療

ホワイトヘッド肛門は薬では治らないので、治療するには手術しかない。

全周が均一に飛び出すタイプのものは、PPHという器械を用いて、下がってきた直腸の粘膜を奥に吊り上げる方法を行っており、良好な成績を得ている。

またホワイトヘッド肛門には、直腸粘膜の一部だけ脱出するタイプもある。

このタイプには、痔核に準じてけっさつ切除術をおこなっている。

 

解説

ホワイトヘッド肛門とは、昔行われていた痔核の手術(ホワイトヘッド手術)の後遺症のことを言います。

このホワイトヘッド手術に限らず、昔の肛門科の手術は「徹底的に取る」ことが重視され、機能のことはあまり考慮されていなかったと聞いたことがあります。

 

ホワイトヘッド手術では、痔を徹底的に切除したのちに直腸粘膜と皮膚を縫い合わせます。

かなりテンションがかかる術式なので、術後は非常に痛かったそうです(やったことがないので、経験者から伝え聞いただけですが)。

「痔の手術はものすごく痛い」という悪評は、この手術が元凶だとのことです。

 

30年以上前に痔の手術を受けた方が、「最近また出てくる」とか、「下着が汚れる」などの訴えで肛門科を受診された場合、このホワイトヘッド肛門の可能性が高いです。

ホワイトヘッド手術はかなり昔に絶滅した術式なので、基本的にホワイトヘッド肛門はお年寄りに見られる病気です。

 

手術の術式に自分の名前がつくのは名誉なことだと思ってましたが、こんなありがたくないケースもあるようです。