尖圭コンジローマはウィルス感染によって起こる病気。
治療は手術で切除する方法と、ウィルスを殺すクリームを塗る方法がある。
性的パートナーも感染していることが多いので、同時に治療が必要。
■原因
ウィルスの感染で起こる。性行為で感染する。
小さな米粒のようなしこりができる。多発することも多い。
■治療
コンジローマには、癌になりやすいタイプとなりにくいタイプがある。
あらかじめどちらのタイプか調べておく必要がある。
治療法は大きく分けて二種類ある。
手術で切除する方法と、ウィルスを殺すクリームをしばらく塗る方法の二通り。
それぞれ長所と短所があるので、正しい治療法を使い分ける必要がある。
■塗り薬による治療
(使用法)
週に3日間、寝る前にコンジローマのイボに薬をすりこむ。
翌朝塗った薬をセッケンと水(湯)で洗い流す。
(注意事項)
イボのできる場所によって、使える場合と使えない場合がある。
水で洗い流せない肛門の内側のイボには使用できない。
また、傷があるところにも使用できない(手術後に再発したケースに使おうと思っても、傷が治るまでは使えない)
肛門の外側にできたイボ
水で洗い流せるので、使用可能。
しばらく使用して、無効であれば手術で切除する必要がある。
肛門の内側にできたイボ
洗い流せないので、この場所にできたイボには使用できない。
■手術と再発について
尖圭コンジローマのイボを手術で切除しても、一回の手術では治らないこともよくある。
体内にウィルスが残っている間は再発してくる。
この場合ウィルスが出尽くすまで、何回か追加治療が必要。
ウィルスが感染した状態(緑のところ)
感染しても1~8ヶ月は発症しない(潜伏期)
徐々にイボ状の隆起になって出現してくる(矢印)
目に見えるイボを手術で切除した状態。
まだイボになっていないウィルスは体内にひそんでいる。
ひそんでいるウィルスが、後日イボになって、次々に出現してくる。
ウィルスがすべて出尽くすまで切除を繰り返す必要がある。
解説
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマはウィルスが原因となって起こる病気です。20~30代の若い人によく見られます。
尖圭コンジローマは通常性的接触によって感染するのですが、たまに高齢者や小児などに見られることもあり、感染経路が不明なケースにも遭遇します。
尖圭コンジローマは陰茎や腟といった性器に生じることがもっとも多く、この場合泌尿器科や婦人科で治療を行います。
ただし肛門性交を行ったりした場合には、尖圭コンジローマが肛門に発生することがあるので、この場合患者さんは肛門科を受診するわけです。
この病気は通常パートナーも感染しているので、自分だけ治療しても意味はありません。性的パートナーがいる場合には、必ずその人も診察を受けて、治療を行う必要があります。
また、尖圭コンジローマのある人はHIV(エイズウィルス)に感染している可能性が高いことが分かっています。この場合、治療の前にHIVウィルスの検査も必ず行う必要があります。
塗り薬の治療について
最近、尖圭コンジローマ治療の塗り薬が肛門科領域でも使用できるようになりました(ベセルナクリームといいます)
コンジローマは切除しても再発することが多いので、塗り薬が使えるようになったのは画期的なことだと思います。
ただしイボが出来る場所によって、塗り薬が使えるケースと使えないケースが存在するため、治療法の選択には慎重を期す必要があります。
また、この薬は効く人にはよく効くのですが、効かない人もいるので、その場合には従来どおり手術で切除を行っています。
コンジローマ手術と術後の再発について
コンジローマの手術は、再発する可能性が高いことで知られています。
コンジローマの手術を受けた方には、かならず医師がOKを出すまで通院してもらう必要があります。
再発を認めたら、その時点で再手術を行い切除を繰り返していきます。
いずれウィルスが出尽くして、イボができなくなれば完治となります。
コンジローマの治療は根気が必要です。
途中で通院をやめてしまうと、再発したコンジローマが増殖して元に戻ってしまうこともあるのです。