小児の肛門疾患は、ほとんどが痔瘻か裂肛。

 

■痔瘻

ほとんどが乳児期(0歳児)の男児にできる。

腫れたり膿が出たりする。

肛門の左右いずれかの側方にできるのが特徴。前(腹側)や後(背中側)にはできない。

膿がたまっている場合には、切開して膿をだす。

痔瘻のトンネルができていても、そのまま経過観察することが多い。

小児痔瘻は、1歳以上になれば自然に治ることが多い。

何年間か経過観察しても治らない場合だけ、手術を考慮することがある(手術が必要となる率は低い)

 

■小児の裂肛

小児の裂肛は、便秘が原因となっている場合がほとんど。

小児の裂肛は、大部分が浅くて一時的なもの。

慢性化すると、でっぱり(皮垂)が出現することがある。

 

治療

しばらくやわらかい便を保つことが重要。
下剤をしばらく飲んで、肛門に軟膏をつけていればたいてい治る。

症状が改善しても、しばらく下剤は続けた方が良い。
完治してないうちに中止すると再発することがある。

裂肛が治れば、でっぱり(皮垂)も自然に小さくなって治ることがほとんど。

 

解説

ほとんどの小児の肛門疾患は、上にあげた痔ろうか裂肛です。

この他に直腸脱や痔核なども起こることがあるのですが、頻度は極めて少なく、私も数例しか経験したことはありません。

これらの小児の肛門疾患が成人と異なるのは、手術を必要とせずに自然に治るケースが圧倒的に多いということです。

お母さんは非常に心配されるのですが、お薬やその場の処置を続けていれば大抵そのうち治ってきます。

ただしごくまれに、小児にはヒルシュスプルング病などの難病がかくれているケースがあります。

この場合肛門科では対処できないため、小児外科での治療が必要となります。